佐藤世那投手(仙台育英)の甲子園での活躍でアーム式投法というのが話題になりました。
アーム式投法というのを誰が名付けたのかはよくわかりませんが、日本では良くない投法ということになっているようです。アーム式投法はテイクバックで一度肘を完全に伸ばし、その後、肘をあまり曲げないで投げる投法で、手の平を早い段階で空に向けるのが最もアーム式投法っぽい投げ方に思えます。
佐藤世那投手、2015年春の甲子園 日本のプロ野球の昔の速球派投手はテイクバックで完全に肘を伸ばす投手が多かったように思えます。その代表が元中日ドラゴンズの小松辰夫投手です。
元中日小松辰夫投手
元巨人の西山一宇投手もアーム式
大リーグではタイガースのジャスティン・バーランダーもアーム式、ジャイアンツのマジソン・バンガーナーもアーム式か。テキサス・レンジャーズの左腕で、ダルビッシュ投手が入団したときに、キャッチボールの相手をしていた投手のデレク・ホランド投手もアーム式と言えるでしょう。
ジャスティン・バーランダーJustin Verlander
マジソン・バンガーナーMadison Bumgarner
デレク・ホランドDerek Holland
アーム式投法は良くないのか?
肘をあまり曲げないので、肩関節が外旋するときに、前腕の重さによる慣性力で生じるトルクが小さく、つまり、前腕が背中側に倒れようとするレイバックを生じさせるトルク(回転力)が小さい(肘が90度のときに最大となる)。したがって、肘の内側側副靭帯に大きなストレスはかかりにくく、肘の故障は少ないのではないかと思います。むしろ、肩の方の故障の方が問題になるように思います。
上に述べたように、前腕にかかるトルクが小さいので、肩関節の無理な外旋は起きにくいですが、投球側の腕を肩甲骨および上腕を動かす筋肉に頼って動かそうとすると(俗に言う手投げをする)肩に無理なストレスがかかり故障しやすくなります。
下半身および体幹部をいかに速く動かし、投球側の肩関節部がホームプレートに向かって動く速度をいかにスムースに加速させるか(急激に行うと怪我をします)、および<strong>その時の腕の位置と加速の方向を適切に保つかで、手投げをせずに肩にストレスをかけずに球速を上げることが可能となります
ただし、腕を振るという意識は捨てなければいけません。腕の質量の慣性を利用して、回転運動に変えることが出来るので。
腕は自然と振られる(振りにいかなくても腕はホームプレート方向に加速するということを学ぶことが非常に大事です)。学校で習うニュートンの運動法則をいかに応用するか、常に自分で考えることが大事です。
しかし、実際に試合とかで投げるときには、腕はコントロールするためだけに動かすという意識をもたないといけません。
私の投球理論の基礎はニュートンの運動法則にあります。野球のピッチングに限らず、ソフトボール、バッティング、ゴルフのスイング、テニス、ボーリング、バレーボール、陸上競技の槍投げ、ハンマー投げ、砲丸投げ(日本の元プロ野球の投手、江夏豊、大野豊さんもしていた)、空手、ボクシング等、すべてニュートンの運動法則(学校で習うのは直線的な運動が多いが、これを回転運動に直したものも大事)を応用すると、レベルの高い選手になる可能性が高くなると思います。さらに必要なのは、体の解剖の知識です。肘の靭帯が肘のどの部分にあるのかを知らないと、怪我をせずに速い球を投げるのは無謀です。
中学、高校生で大リーグの投手を目指し、イチロー選手のように歴史に残る成績を残したければ、毎日、いろいろな、例えば、歩く、走る、その他、いろいろな体を動かす動作は、どういうメカニズムで成り立っているのか絶えず研究してもらいたいと願っています。私のサイトを読んでもらっている読者の方で、現役で野球をされている方(草野球等も含む)は、上のレベルを目指すにはニュートン力学、体の解剖は最低限必要な知識ですので、毎日、勉強されることをお勧めします。
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