イチロー選手は2012年9月19日のトロント・ブルージェイズ3連戦、オークランド・アスレチクス3連戦で、25打数15安打、2ホーマー、5打点、7得点の神がかった大活躍で週間MVPを獲得しました。
このときのイチロー選手は何が良かったのでしょうか。打撃フォームから分析してみたいと思います。
イチロー選手とベーブ・ルース。二人の共通点はいずれもニューヨーク・ヤンキースの選手という点です。ベーブルースは通算714本のホームランを打ったホームランバッターで、安打製造機の異名のあるイチロー選手とは打撃のスタイルが違うと思っていました。
ところが、ホームランバッターの打撃フォームの特徴を調べていたところ、ベーブルースの打撃分析の解説で、イチローと似ているという表現がされていました。
二人とも、スタンスが狭く、それから体を前に投げ出す点が似ているという表現でした。これは1本足打法の王選手にも言えます。王選手とベーブルースの打撃フォームは非常に良く似ています。前足を上げるか上げないかが違うぐらいです。
2012年9月19日ブルージェイズ戦
ベーブ・ルースの打撃フォーム
よく見ると、イチロー選手とベーブ・ルースの打撃フォームはよく似ています。ベーブ・ルースがホームランを多く打てたのは、踏み出した前足に体重が十分に乗っているので、腰の回転が速いからです。前足を踏み出す方向と体の重心の移動方向が一致しているので、前足に体重が乗り腰の回転が速くなるのです。
イチロー選手の場合は、踏み出した前足はクローズド気味でショートの方向に向きますが、体の重心の移動方向は一塁方向に向いているため(一塁に速く走り出すために)、前足に体重が十分乗っていません。そのため、腰の回転速度がホームランバッターのようには上がりません。腰よりも上の部分だけが速く回転しています。この打席のときには、イチロー選手にしては前足に体重が乗っていた方なので、鋭い当たりになったと思われます。おそらくこの週のイチロー選手は前足に体重が良く乗っていたのでしょう。
もし、イチロー選手が踏み出した足の方向に体を投げ出せば、ベーブルースのようにホームランが増え、鋭いクリーンヒットも増えそうです。
ホームランの時の打撃フォーム
もし、早いタイミングで体を一塁方向に投げ出すようになればボテボテの当りが増え、スランプに陥る危険性があります。運がよければ内野安打になるかもしれませんが。
内野安打の時の打撃フォーム
イチロー選手には内野安打を稼ぐような打撃フォームよりも、ベーブ・ルースのように鋭い当りを打てるように、一度もっと体を踏み出した足の方向に体を投げ出してみて欲しいですね。そうしたら来シーズン以降、とてつもなく凄い成績を残すかもしれません。
ちなみにベーブルースはホームラン打者でしたが、通算打率も良く、.342と高い数字を残しました。
2012年の9月19日からの一週間はまるでベーブ・ルースが乗り移ったかのようなイチロー選手でした。