- H君(中学二年)投球分析
- 野球界には間違った常識が通用しています。
- 重要なポイント
- これは、以下で述べる投球の基本大原則です。
- 日本プロ野球界で、通産勝ち星2位(350勝、通産防御率2.91)の米田哲也投手(打者は王貞治)の投球フォームを参考にします。米田投手は、プロ野球歴代1位の949試合に登板し、その驚異的スタミナから「ガソリンタンク」「人間機関車」「タフマン」などと呼ばれました。怪我とは無縁の投球フォームです。
- ①前足を着地したときの右腕の前腕が地面に垂直、かつ右肘の位置が両肩を結んだ線よりも低く、かつ背中側にあるのが理想です。
- 昔の投手が行っていたように、体幹部は最初から、緩やかに横回転、縦回転を行う。(回転慣性(角運動量ともいう)を与える) この着地前の動作の縦と横の穏やかな回転なのですが、グラブ側の脚を高く上げたときに背中がキャッチャーから見えるようにする(横回転を作るため)。
- 足を上げた時に若干背番号がキャッチャーに見えるぐらいの角度をつけるでよろしいでしょうか?
- 腕の角度が大きい(カーショーのように)場合は、この角度は小さくて良いです。腕の角度が小さい(米田投手のように)場合は、テイクバックで右腕が下がった際にこの角度は大きくなります。これは腕の横回転を大きくするためです。しかし、この角度は大きいほうがコッキング(右肘を高く移動させる)には有利なので、大き目のほうが良いと思います。
- 前足を着地してからは、投球側の肩関節が地面に垂直な平面内を縦回転することを意識する。 その後、肩関節は水平に回転しても安全です。左の股関節を中心に体の横回転が起きても、先に縦回転を行い上体を前傾させると、a,bとも小さくなるので肩、肘の加速度(a、bに比例)が小さくなり、肩関節にかかる回転トルク(腕が2塁側にもっていかれるように感じる)は小さくなるので、安全です。
- さらに、体の重心は着地した前足上を通過するようにする
- 地面に垂直な平面内を縦回転する具体例(これは投球側の肘が高く上がっている証拠です)
- 黒田投手
- アロルディス・チャップマン投手
- ウォーレン・スパーンWarren Spahn投手
- その際、②右肩(右投手の場合)は弧を描く必要があります。
- 弧を描く必要性について
- まず投球で最も大事なポイントを理解しておく必要があります
- 投球の基本大原則について
- 上体の縦回転のイメージ
- 上体の横回転のイメージ
- Hさんの投球フォームをどう修正するかの具体例
- 投球練習の方法について
H君(中学二年)投球分析
別ブログ「MLB投球、打撃分析」内のコメント内で、投球に関するアドバイスを依頼されましたので、投球ビデオを投稿してもらい、私なりに分析しました。
コメント内容:
初めまして!
2年前よりこちらのHPを参考にさせていただき 息子(中二リトルシニア)といろいろ研究してヒップファースト以外で全国大会に行こうと日々練習をさせていただいております。どちらかいうと上原選手のページを中心にフォームを作りました。現在120km/h前後のスピードが出て且つ安定したピッチングでチームのエースまでなることができました。本当にこのHPの賜物です。ありがとうございました。それで、厚かましいお願いなのですが、もしよければフォームを動画で見てはいただけないでしょうか?実はこの1か月間 肘の痛みが出てきており原因がわからないところなのです。チームの監督には肘を上げてヒップファーストにしないからではといわれており、我々もなんとかこのフォームで頑張りたいと思っております。もちろん私どもの責任の範囲で作ったフォームなので気になさらず アドバイス程度でも大変うれしいのでお願いできませんか?
第一印象:
前足を着地するまで投球側の腕は加速しておらず、遊んでいる。前足を着地してから、一気に曲げた肘関節を伸ばし、かつ肩関節を内旋させている。つまり、腕を振っている。典型的な手投げです。ストライドは大きいのですが、これはただ、体全体がホームプレート方向に移動しただけで、投球側の腕は前足が着地してから急激に動き始めているので、肩、肘には無理な力がかかっています。
野球界には間違った常識が通用しています。
①肘をあげる これは、昔からの投げ方を理解していれば、自然にそうなります。 一度右肩を左肩よりも下げて、その後、右肩を上げるのではなく、むしろ左肩を下げるようにすればいいのです。
②ヒップファースト
右肩を下げれば、自然とヒップファーストになります。ヒップファーストは、オーバーハンドでは自然な形で、問題なのは、体を開かないことを意識するあまりヒップファーストのままの姿勢を維持することです。そうなると、右肩関節部分は直線的にホームプレート方向に動くだけで、加速していきません。右肩関節部分は円軌道(弧)を描き続けなければ、右腕は加速してゆきません。
重要なポイント
右肩関節部分は円軌道(弧)を描き続ければ、腕を意識して振らなくても球は投げれます。
これは、以下で述べる投球の基本大原則です。
質問のあった点を重点的に解説します。
まず、最初にお断りしますが、腕の角度をサイドハンドスローに近い角度にするのか、あるいはドジャースのクレイトン・カーショーのように地面にほぼ垂直にするのか、あるいは腕の角度を地面(水平面)と30度ぐらい、あるいは60度ぐらいにするのか等、あらかじめ決めておかないと、前脚の使い方、投球側の腕のテイクバックの仕方等違ってきます。
Hさんの場合は肘を使った投げ方になっており、肘が完全に伸びきる前にボールがリリースされているので、腕の角度という形がないので、参考にするべき投手を決めかねます。上原投手を参考にしたとありますが、どこを参考にしたのか良くわかりません。右腕のテイクバックの使い方でしょうか。上原投手の腕の使い方はクイックで、中学生が最初に参考にするには肩、肘にストレスがかかるので参考にしないほうが良いでしょう。
まずは昔の投手のオーソドックスな投げ方をマスターするのがベストです。最近の投手の投球フォームは怪我をしやすい形になっているので真似はしないほうが良いです。ノーラン・ライアンのピッチングバイブルを読んだことがあるか尋ねたのは、ノーラン・ライアンのピッチングバイブルに書いてある投球フォームを参考にすると怪我をしやすい(松坂投手のように)からです。決して投球フォームについては参考にしないでください。この本は参考にしている指導者の元では怪我をしない投手は育たないような気がします。その他のトレーニング、栄養学等は参考になるのかもしれませんが、私は読んでないのでなんとも言えません。
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日本プロ野球界で、通産勝ち星2位(350勝、通産防御率2.91)の米田哲也投手(打者は王貞治)の投球フォームを参考にします。米田投手は、プロ野球歴代1位の949試合に登板し、その驚異的スタミナから「ガソリンタンク」「人間機関車」「タフマン」などと呼ばれました。怪我とは無縁の投球フォームです。
①前足を着地したときの右腕の前腕が地面に垂直、かつ右肘の位置が両肩を結んだ線よりも低く、かつ背中側にあるのが理想です。
昔の投手が行っていたように、体幹部は最初から、緩やかに横回転、縦回転を行う。(回転慣性(角運動量ともいう)を与える) この着地前の動作の縦と横の穏やかな回転なのですが、グラブ側の脚を高く上げたときに背中がキャッチャーから見えるようにする(横回転を作るため)。
足を上げた時に若干背番号がキャッチャーに見えるぐらいの角度をつけるでよろしいでしょうか?
腕の角度が大きい(カーショーのように)場合は、この角度は小さくて良いです。腕の角度が小さい(米田投手のように)場合は、テイクバックで右腕が下がった際にこの角度は大きくなります。これは腕の横回転を大きくするためです。しかし、この角度は大きいほうがコッキング(右肘を高く移動させる)には有利なので、大き目のほうが良いと思います。
前足を着地してからは、投球側の肩関節が地面に垂直な平面内を縦回転することを意識する。 その後、肩関節は水平に回転しても安全です。左の股関節を中心に体の横回転が起きても、先に縦回転を行い上体を前傾させると、a,bとも小さくなるので肩、肘の加速度(a、bに比例)が小さくなり、肩関節にかかる回転トルク(腕が2塁側にもっていかれるように感じる)は小さくなるので、安全です。
さらに、体の重心は着地した前足上を通過するようにする
上に述べたのと同様の理由で、肩へのストレスは小さくなる。
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地面に垂直な平面内を縦回転する具体例(これは投球側の肘が高く上がっている証拠です)
黒田投手
アロルディス・チャップマン投手
ウォーレン・スパーンWarren Spahn投手
大リーグ通算363勝(第6位、左腕では第1位)、第二次世界大戦で3年間プレイしていない。そのため25歳で初勝利。これがなかったら400勝を超えていたであろう。20勝以上を13回も達成している。44歳までプレイ。大きな怪我とは無縁であった。
その際、②右肩(右投手の場合)は弧を描く必要があります。
弧を描く必要性について
まず投球で最も大事なポイントを理解しておく必要があります
投球の基本大原則について
これはテイクバックの際も、前足を着地してからも同様に守るべき大原則です。これが守られていれば、投球フォームはどんな形であってもかまいません。フォームを意識するよりもこの基本大原則をまず意識すべきです。肩関節の加速の方向と、腕の重心の位置関係で、腕は縦にも、横にも、肩の回りの筋肉を使わない(腕を振る意識がなくても)でも、回転してゆきます。この際、肩関節、肘関節とも力を抜いて脱力しておくことが大事です。肘関節が脱力されていれば、肘関節は遠心力で自然に伸びて行くので、肘の靭帯を痛めることもなくなります。
上体の縦回転のイメージ
上体の横回転のイメージ
Hさんの投球フォームをどう修正するかの具体例
投球練習の方法について
- 最初はストライドは小さ目から始める。肩幅ぐらいで、右肩が弧を描くように体の上下動を意識したほうが良い。
- 右腕はまったく振らずに、前足着地時、直前に左の肘を思い切り速く引き下げ、左肩も思い切り下げると、右肩が上がる。
- セットポジションからの投球練習では両足を地面から浮かさないで(片方のつま先は着いておく)右肩が弧を描くように投げる練習をする
- 腕の角度を大きくする投げ方の場合(ウォーレン・スパーン、クレイトン・カーショーのような投げ方)は、ワンドアップの際、左脚はホームプレート方向よりに上げる(体に巻き付けない)。左脚の重力で上体を縦回転させやすくするためである。左足を地面に垂直に踏みつける感じで着地する。
- 腕の角度はサイドハンドスローから地面に垂直な(クレイトン・カーショー)投げ方といろいろ試したほうが良い。
- 投手だけでなく内野手(ショート)、外野手の投げ方も練習するといろいろな体の使い方がマスターできるので良い。大投手は15歳まで投手をしていなかったという選手も多い。
- 左手でも投げる練習をしたほうが良い。投球の仕組みをマスターするのに効果的である。
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