体が開くと球速、コントロールとも悪くなる
体を開かないで投げるのは、簡単なようでなかなか難しいことです。投球フォームの腕の角度によっても、体を開かない方法は違ってきます。アンダーハンド、サイドハンド、スリー・クォーター、オーバーハンドと腕の角度によっても方法は違ってきます。したがって、まずは、大リーグを代表する投手を例に、 体を開かない方法 を探ってみたいと思います。
①グレッグ・マダックス
精密機械と言われたコントロールの良い、マダックス。投球側の肘を下げないことと体を開かないことの内、マダックスの場合は、体を開かないことにまず、意識を置いた投げ方かもしれません。体の構造上、肘を上げると、肘の位置は両肩を結んだ線よりも体の正面側に移動しやすくなります。
マダックスの腕の角度
スリー・クォーター で腕の角度は水平線から45度位です。
前足を着地した際、上体および投球側の肘の位置は開いていない
つまり、上体が開かず(上体が投球プレート側に向く)、投球側の肘の位置も両肩を結んだ線よりも背中側にあります。
マダックスのような腕の角度の投球では、投球側の肘の位置は背中側にあることが、肘の高さよりも優先されているとも言えます。肘を高くしようとすると、肘の位置は背中側からお腹側に移動しやすくなります。サイドハンドでは最初から肘の位置を高く保つような投げ方になりますので、肘の位置の高さを優先し、かつ、肘の位置を背中側に保とうとすると、ランディー・ジョンソンやクレイグ・キンブレルのように、テイクバックで前腕が地面に平行となるような形になるのでしょう。
マダックスの前足着地時のコツ
胸を張り、投球側の肘の位置は背中側で、前腕は地面に垂直(コッキング)、グラブ側の肘の位置も背中側。
肘は高くではなく、背中側、かつ胸を張る
レフティー・グローブ
大リーグ史上最強の左腕と言えば、最近ではランディー・ジョンソンの名前が挙がりますが、生涯修正防御率ERA+のランキングでは、レフティー・グローブの方が上です。
大リーグ生涯修正防御率ERA+のランキング
ERA+は打者を圧倒的に抑える指標です
レフティー・グローブは5位です。トップはマリアーノ・リベラです。修正防御率は時代を超えて、さらに球場の特性を修正して、投手の優秀性を比較できるッサイバー・メトリック上の数値です。大リーグ史上・最高の投手の呼び声も高いウォルター・ジョンソンよりも上です。 レフティー・グローブ はサイバー・メトリック上では大リーグ最高の投手とも言えます。通算300勝(141敗)を達成し、25歳で大リーグ入団する前に、マイナーリーグですでに112勝を達成しています。いずれにしても、 ウォルター・ジョンソン に匹敵する投手です。
また、クレイトン・カーショー、ペドロ・マルチネスがそれぞれ2位、3位にいます。
レフティー・グローブ のピッチングの特徴
- テイクバック時のコッキング(前腕を立てる動作)が早い
- 上体のしなり(胸を張る動作)が大きい
1930年ワールド・シリーズでの投球(フィラデルフィア・アスレチクスのエースとして優勝)
1929年についでワールド・シリーズ2連覇
1930年ワールド・シリーズ(優勝)での投球
マリアーノ・リベラ
生涯修正防御率ERA+のランキングで 断トツの1位は205のマリアーノ・リベラです。2位のクレイトン・カーショーの159を大きく引き離しています。2019年度満票で大リーグ殿堂入りしました。通算652セーブの大リーグ記録を達成しています。2位はトレバ―・ホフマンの601セーブです。
マリアーノ・リベラの球種はカットボールただ1つだけ。コントロールも良く、ストライク・ゾーンの真ん中には行かない。通算四球率は2.0/9回です。
マリアーノ・リベラのピッチング
前足を着地した時の、コッキングのフォーム
腕の角度
クレイトン・カーショー
生涯修正防御率ERA+ 第2位159
大リーグ史上最高の左腕の一人で、まだ現役です。ロサンゼルス・ドジャース所属。
クレイトン・カーショー のピッチング
前足を着地した時の、コッキングのフォーム
腕の角度 (地面に垂直に近いオーバーハンド)
ペドロ・マルチネス
生涯修正防御率ERA+ 第2位154
大リーグ最強右腕の呼び声も高い投手です。特に、サイ・ヤング賞に輝いた1999年(27歳)、2000年(28歳)の ERA+ はそれぞれ243、291で、圧倒的なピッチングをしていました。
ペドロ・マルチネスのピッチング
前足を着地した時の、コッキングのフォーム
腕の角度
サイドハンドに近い腕の角度。現在、大リーグ最高のクローザーであるクレイグ・キンブレルに近い腕の角度。
ウォルター・ジョンソン
生涯修正防御率ERA+ 第6位147
大リーグ史上最高の投手という呼び声が高い。サイ・ヤングに次ぐ通算417勝を挙げた剛速球投手。
ウォルター・ジョンソン のピッチング
前足を着地した時の、コッキングのフォーム
1924年ワールド・シリーズ第7戦リリーフで優勝決める
ランディー・ジョンソン
生涯修正防御率ERA+135
大リーグ史上最強左腕といえば、レフティー・グローブかランディー・ジョンソンという名前が浮かびます。クレイトン・カーショーは大リーグ史上最高の左腕の一人ではありますが、力強さというイメージは湧いてきません。 ンディー・ジョンソン の 生涯修正防御率ERA+は135ですが、全盛期(遅咲きで35歳以降)は200近くの数字を残しています。
ランディー・ジョンソン のピッチング
ホイト・ウィルヘルム
生涯修正防御率ERA+ 第6位147
ナックル・ボーラーでリリーフ投手として、はじめて大リーグ殿堂入りを果たしました。ピッチングの特徴は、サイドハンドに近いフォームで、 力まず軽く投げているところです。ランディ・ジョンソンの投球フォームと少し似ています。
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