はじめに
最も簡単なピッチングの教科書を書くにあたり、理論的な考えを、実際にボールを投げて検証、修正し、実際に役に立つ形にまとめました。
私は、利き腕が右ですが、女性や、60歳以上のシニア等(私は現在62歳で、野球経験なし、ピッチング歴(壁投げのみ)わずか2年半)、非力な人でも投げれるように、左手でも投げれるような教科書を目指しました。まだ、完成型とは言えませんが、実用のレベルには達していると思っています。
右手では投げれても左手ではなかなか思うようにはいきませんでした。脚力の問題も大きいとは思いますが、それだけではないように感じています。メカニクス(手足の運動の連鎖)がうまく言っていないことも大きいと思っています。したがって、最も簡単なメカニクスを考え出しました。
ピッチングに筋力、体の柔軟性は大事ですが、最も効果的なのは効率的な投球メカニクス(投球フォーム)だと思っています。基礎体力のあるアスリート(スポーツ選手)、とりわけ球技の選手(テニス、バレー、槍投げ、砲丸投げ)であれば上達は非常に速いと思います。
この教科書は更新型で、絶えず新しいものに更新してゆく予定です。私が左手で右手のように投げれるようになればこの教科書はおそらく完成型といえますが、はたしてどうなるか予想がつきません。両手投げをすることは相乗効果でどちらのピッチングも改善されるというメリットがあると思っています。
現役大リーグ最高のクローザー、クレイグ・キンブレルのピッチングに挑戦
大リーグ通算で300セーブ以上を挙げている、現在シカゴ・カブスに所属する将来殿堂入りの可能性の高い、100mph近い球を投げるクレイグ・キンブレル(31歳)の投球フォームはサイドハンドに近い、独特のフォームで真似をするのは難しいと思っていました。
肩甲骨、肩関節まわりの柔軟性がないと無理なテイクバックは無視して、その他の投げ方(特にクローズドスタンス)をキンブレル流にしてみました。意外に投げれるものだと驚いています。
理想の投球フォームの一例(v-pose)
V字ポーズは速さの印です。VはVelocity(速度)、故Ventura投手の略でもあります。速いブレーキングの結果のフォロースルーの形です。
v-poseピッチングの解説
- 体の横回転、縦回転も速くすることを目指した投球フォームです。
- 大リーグで同じようなフォロースルーをする投手は、ドミニカ出身の故 ヨーダノ・ベンチュラ(Yordano Ventura , 1991年6月3日 – 2017年1月22日) 投手です。残念なことに、交通事故で2年前に亡くなりました。身長は180㎝位で大きくはありませんが、先発投手の中では直球の平均球速が97mphと4年連続で大リーグで1位か2位でした。V字のVはVentura投手のVでもあります。
- 横回転が速いので、前足を着地時、上体の開きが少し早すぎるように見えます。これは今後の改善の余地があるかないか検討の余地があります。
- 前足着地後は、上体を前に倒したり、横に回転させることは意識していません。
- 実はその逆で、上体が縦にも横にも回転しないように我慢した結果、反射的に縦回転、横回転が速くなっています。
- 意識としてはボールのリリースポイントで上体の回転を止めるようにしています。
投球側の肩関節の速度に注目
ソフトボールのブラッシング
速いボールを投げるにはソフトボールのブラッシングという肘を腰にこすりつける(ブラッシング、ブラシをかける)ようにして肘関節の速度を減速ブレーキングすることが大事ですが、その前にまず肩関節を加速、減速させる必要があります。
肩関節の加速、減速をマスター後は、ソフトボールのブラッシングという動作を空中でする、いわばエア・ブラッシングを野球のピッチングに利用するのが理想である。
投球側の肩関節に意識を置く
野球のピッチングの際には、肘よりも肩関節に意識を置いたほうが、私の場合には、良い結果が得られます。
投球側の肩関節を加速、減速させる方法
重心移動をスムースに行う
- まず、体の力を抜いて体の重心(だいたい臍の高さ)のホームプレート方向への加速をスムースに行う必要があります。
- この際、上体の軸は体の左右に倒れないでまっすぐすることが大事です。
- さらに、前後方向にも意識としてはまっすぐに保つことを意識するほうがよいと思います。
- グラブ側の足を高く上げたまま、体の重心がホームプレート方向に移動するまで、待ってから足を下ろすことが大事.
- 軸足は蹴りに行かない。体が開いてしまう(回りすぎてしまう)ので。
- グラブ側の足はストライドの半分を過ぎてから前に勢いよく踏み出す。
前足の着地でブレーキング
投球側の肩関節を加速、減速させるのに最も重要なのは、前足を着地して体の重心移動にブレーキをかけて、着地側の膝が前に動かないようにすることです。したがって、着地側の脚の下腿(膝から下の部分)の角度が垂直よりも後傾している必要があります。
体の重心移動のスピードが緩い時には、体は後ろに逆戻りする感じになります。重心移動のスピードが高ければ、体の重心は逆戻りではなく、止まる感じになります。
ブレーキングの際に意識すること
- 前足の着地地点と体の重心と投球側の腕の肘はほぼ一直線上(真上から見た場合)でホームプレート方向に向かう
- 前足を着地すると上体が前に倒れようとしますが、それを我慢して倒れないようにすると、反射的に上体は前に速く倒れようとします。速い縦回転が生まれます。
- 前足を着地すると上体が 横に回転しようとしますが、それを我慢すると、反射的に上体は速く横回転しようとします。速い横回転が生まれます。
投球側の肩関節の軌道(Jターン)に注目
前足を着地後、肩関節の移動方向はホームプレートに一直線
これが、最もシンプルな方法で効率的です。また、この方法だと腕の角度をアンダー、サイド、スリー・クォーター、オーバーと自由に変えれて応用が利きます。
実際には、ボールリリースの直前には肩関節の軌道はカーブを描きながら逆戻りをする(見掛けは止まって見える)ので、Jカーブを描きます。逆戻りということを強調するならば、 J ターンと言ったほうが適切です。
腕の角度を高く(だいたい30度よりも大きくする場合)する際に注意する点
投球側の肩を下げる必要があります。そうしないと上体が前傾になりすぎてボールが低めに行過ぎてワンバウンドになります。
効果的な練習方法
右手での前足のブレーキング、投球側肩関節のブレーキング(J-ターン)の練習
- 前足を着地して体を後退させる
- 肩関節のJ-ターンを意識する
- 腕の角度をいろいろ変えてみる(アンダー、サイド、スリー・クォーター、オーバー)
- 重心移動のスピードを上げ、ストライドを少しずつ大きくする。結果として、前足着地時の体の後退は小さくなる。
左手での前足のブレーキング、投球側肩関節のブレーキング(J-ターン)の練習
- 前足を着地して体を後退させる
- 肩関節のJ-ターンを意識する
- 腕の角度はアンダー気味サイド。スピード・アップにはオーバーハンドだけでなく、サイドハンド系の投げ方をマスターすることが必須です。
両手投げも夢ではない
両手投げは夢か幻か、現実的には難しいと思われていますが、ピッチングの仕組み(メカニクス)がわかってくると、できるかもしれないという思いが強くなります。
大谷選手に続く、大リーグの歴史に残る次の話題は両手投げで、早い者勝ちかもしれません。そういう投手はまたしても、日本(北海道あたり)からでることでしょう。私としてはそれが女子の投手であることを夢見ています。
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