理想の投球フォーム習得方法

ピッチングスクール
  1. 理想的な投球フォームとは?
      1. 上の3つの条件を達成するには下半身で投げることが必要です
      2. 足関節の伸展には、膝を深く曲げない事が有効
    1. ピッチング時の大臀筋の役割
    2. ピッチング時の中臀筋の役割
    3. 肩に負担のかからない投げ方とは?
    4. 肘に負担のかからない投げ方とは?
    5. 省エネピッチングで注意すべきポイント?
      1. スピード(球速)を出すのにとりわけ重要なのは体のどの部分か?
    6. 効率的に球速をアップさせる方法
      1. 太字の部分は特に重要な部分で、投球の際、うまくいかないときは要チェック。
      2. 重心移動のコツ
      3. セットポジションからの重心移動
      4. ①投球側の肩関節を加速、減速させる
    7. 慣性トルクの利用
      1. 慣性トルクの利用は、腕を加速、さらに回転運動に変換するにはどうすれば良いかという考えです。
      2. 慣性トルクには加速期と減速期と2度、腕の回転を加速できる
      3. 加速期の慣性トルクの利用
      4. 減速期の慣性トルクの利用
      5. 下で述べるソフトボールのブラッシングは減速期の慣性トルクの良い見本です。
      6. 加速期の慣性トルクを利用する際、注意する点は、重力の影響です。
      7. 楽に重心移動を行う基本的な方法
      8. ①上半身の姿勢は背筋を伸ばし直立を維持するが、その他の体の部分はリラックスさせ、体の重心を少しずつ下げるようにすると、重心移動は楽に行えることがわかりました。
    8. 理想的なピッチングフォームを身につけるための具体的な練習方法
      1. ①ソフトボールの投げ方で指先のスナップを速くする
      2. ソフトボールの上野投手のブラッシング
      3. ②ソフトボールの投げ方からアンダーハンドの投げ方に変える方法
      4. ③アンダーハンドからサイドハンドの投げ方に変える方法
      5. ④サイドハンドからスリー・クウォーターの投げ方に変える方法
      6. ⑤ スリー・クウォーター の腕の角度を大きくする方法
    9. 当スクール推奨の理想の投球フォーム①(V-pose)
      1. V-pose ピッチング

理想的な投球フォームとは?

  1. スピードとコントロールのバランスが取れている
  2. 省エネピッチング
  3. 肩、肘に負担のかからないフォーム

したがって、女性でも、高齢者にも最適な投球フォームである。両手投げもできるようになるでしょう(可能性は大)。

上の3つの条件を達成するには下半身で投げることが必要です

下半身は上半身に比べて強力です。とりわけ利用したい下半身の部分は足関節の伸展です。よって、拇趾球に荷重点が来る必要があります。

足関節の伸展には、膝を深く曲げない事が有効

人体で最強の筋肉は何かという質問に対して、野球のピッチングに限定すれば、大臀筋、ヒラメ筋という名前が思い当ります。

お尻の周りの筋肉、黄色が大臀筋
         青色が中臀筋
         赤色が小殿筋

大臀筋は人体で最大の筋肉で、人類は2本足で歩くようになってこの筋肉が発達しました。大臀筋は歩く動作の際、上体が前に倒れないように作用します。 スピードスケートの選手は上体を前傾させたまま滑るので、 大臀筋 が非常に発達しています。

ピッチング時の大臀筋の役割

大臀筋の主要な作用は股関節の伸展です。 大臀筋は人体で最大の筋肉 なので、体をホームプレート方向に重心移動させる際、股関節が伸展していたら利用できません。前足を着地させる直前まで、最低でも軽く股関節は曲げておくことが重要です。

ピッチング時の中臀筋の役割

中臀筋の主要な作用は股関節の外転です。重心移動の最初の段階で股関節が伸展しているピッチングフォームの場合には、中臀筋は最初に働く筋肉です。

下腿3頭筋(腓腹筋+ヒラメ筋)

ヒラメ筋 は足関節を伸ばすために働きます。形が魚の舌ビラメに似ているのでこの名が付いています。英語ではsoleusと言います。ヒラメ筋は下腿のふくらはぎの筋肉である腓腹筋の内側にあります。
腓腹筋 は2関節筋で、膝関節と足関節を筋肉の両端の内側に含むので、膝関節を曲げたり、足関節を伸ばす作用があります。

しかし、膝関節を曲げないで伸ばしていると足関節を伸ばす作用 だけに専念できます。一方、 ヒラメ筋の 両端は膝関節をまたがないので、ヒラメ筋の仕事は足関節を伸ばす作用だけです。

したがって、膝関節を曲げず、完全に伸ばしている時には、腓腹筋とヒラメ筋の両方で強力に足関節が伸びるので、ジャンプの最終段階で強力な力を発揮します。

足関節を強く伸展させるには重心移動の後半、膝の皿をホームプレートの方向に向け、拇趾球で荷重を支える姿勢にすることが大事です。

下半身を有効に使うには、股関節、膝を控えめに曲げ、体重を軸足の拇趾球で支え、重心移動の後半に膝の皿をホームプレート方向に向けることが効果的です。

肩に負担のかからない投げ方とは?

腕は肩甲骨平面内にあるように保ち、腕は肩甲骨に対して相対的に大きく動かさない。肩甲骨の方が大きく動くようにする。

肘に負担のかからない投げ方とは?

肘関節が直角に曲がった状態で、肩関節(肩甲骨・上腕関節)を急激に外旋する動きは避ける。肘関節の内側側副靭帯に無理な張力が発生し、トミー・ジョン手術を受ける可能性が高くなります。

逆Lのように前腕を下に向けるテイクバックでは、前腕は180度+(45度から90度)外旋し、肩関節の可動域限界に達すると、 肘関節の内側側副靭帯に無理な張力が発生し ます。肘をまっすぐ伸ばすか、あるいは軽く曲げた状態からの、昔からのオーソドックスなL字型のテイクバックでは、前腕が地面に垂直近くになった状態から45度から90度以内の肩関節の外旋しか起こらないので、 肘関節の内側側副靭帯に は無理な張力は発生しません。

逆L のような投手すべてが怪我をしやすいとは必ずしも言えません。 逆L で200勝以上を挙げた投手も大リーグにはいますが、それらの投手は速球投手でない場合がほとんどです。平均球速の高い、速球派投手はやはり怪我をしやすいと言えます。

肘関節を軽く曲げた状態で最大外旋に到達後、肘を90度近く曲げるテイクバックは、投球に必要な肘関節、肩関節を動かすのに適度な負荷がかかり、かつ怪我もしにくいので理想的です。これは、アンダーハンド、ソフトボールのピッチングから学んだことです。

アンダーハンド、ソフトボール では、 肘関節が直角に曲がったはおらず、特にソフトボールでは肘は15度程度軽く曲げた状態なので、 肘関節の内側側副靭帯に無理な力がかかりません。アンダーハンドも肘の曲りは少なめです。

省エネピッチングで注意すべきポイント?

①両膝は深く曲げず、下半身の動きを上半身へと効率的に伝える。そのためには自然体の姿勢を保つ。体の軸をあまり曲げない方が効率が良いと思います。その方が、体の重心の落下が大きくなり、位置エネルギーを失った分だけ、運動エネルギーに変わるので、ホームプレート方向への重心移動も当然速くなります。

②重心移動の始めは、上半身の軸は軸足側に傾かないようにする事が非常に重要である。上体が後傾してしまい、投球側の肩が前に加速していかなくなります。

スピード(球速)を出すのにとりわけ重要なのは体のどの部分か?

球速をアップさせるにはまず、腕を速く動かさなければいけませんが、そのために腕を振ってはいけません。腕を動かす筋肉は下半身に比べて非力です。下半身を速く動かし、その動きを効率よく指先の方に伝えるのが省エネピッチングです。

しかし、肩から先の腕が速く動けば球速がアップするとは限りません。速い球を投げる投手は肘から先の動きが目立って速く動いています。前腕の動き、最終的には指先のスナップの動きが速いようです。

ソフトボールで100マイルの球を投げた投手では肘関節の動きは急激に減速され、軽く曲げた肘関節から先の前腕の回内動作により指先のスナップ動作を引き出しています。

指先のスナップ動作で指先にかかる力にはまだまだ余力があり、誰も完全には力を出し切るまでには至っていないように思えます。

効率的に球速をアップさせる方法

  1. ホームプレート方向への重心移動のスピードアップ
  2. グラブ側の足の着地により、膝が前に動かないように十分ブレーキング。着地側の脚の下腿の角度は垂直よりも後傾すること。膝は軽く曲げて着地が良い。クレイグ・キンブレルの場合、膝が伸びた時の脚の角度は約60度である。体の重心の移動方向の延長線上に着地。コッキングの際、着地した足、体の重心、投球側の肘はほぼ一直線上にあるようにする。 投球側の肘 の高さは両肩を結んだ直線上を意識する。 
  3. 結果として、重心移動による体の運動を、体の縦回転、横回転に変換し、投球側の肩関節の動きに変える。体幹部の剛性は充分固くなるように、筋肉を緊張させるように意識する。上体の軸は左右に側屈しないこと。
  4. 慣性トルクの利用で腕の回転を引き出す
  5. 腕の関節を肩関節から指先にかけて順に加速減速させる

太字の部分は特に重要な部分で、投球の際、うまくいかないときは要チェック。

重心移動のコツ

セットポジションからの重心移動

投球フォームの違いによっては重心移動の方法が違います。特に着地側の足を高く上げる昔のハイ・キック投法では着地側の足を高く保ったまま開脚の姿勢になります。

セットポジションからの重心移動は初心者にはむずかしい動作です。静止した状態から重心をわずかにずらすために、無駄な動作をしてしまい、無駄な力を使いがちです。

①軸足一本で立った状態から上半身をホームプレート側に少し前傾させ、膝を少し曲げて体の重心をホームプレート側にずらすと、体の重心が下がる分の位置エネルギーがホームプレート側への運動エネルギーに変わるので、重心移動が楽に行えるようになります。

この際、上半身の軸はまっすぐにし、側屈しないようにします。背筋も真っ直ぐにし、姿勢を高く保った方が重心移動はスムーズです。また、軸足から股関節、投球側の肩関節を結ぶ線が、体の正面から見て一直線になる姿勢を維持することが大切です。この時、軸足側の膝は内に絞る、あるいは軸足側の股関節を内旋することになります。この状態で膝を深く曲げたとすると、内股状態になります。しかし、省エネを考えると、深く曲げる必要はありません。軽く曲げるだけで十分です。

②同時に、投球側の腕を、例えば、胸の位置から落下させ時計の振り子のようにスウィングさせると肩関節には腕からの反力が働きます。その結果、体の重心がホームプレート側に移動するので、投球側の腕をスウィングするようにテイクバックすることの大切さがわかります。

①投球側の肩関節を加速、減速させる

肩関節の軌道が、最初は直線あるいは緩やかな曲線で、次第に急カーブを描くようにする。アルファベットのJの字 (Jカーブ) をイメージするとわかりやすいと思います。 J ターンと言った方がよいかもしれません。以後、 J ターン で統一します。

この Jターンの加減速の速さに球速は大きく左右されます。したがって、いかに効率よく下半身を使うことが大事かがわかります。

Jターンの加減速の速さを大きくするには、体の縦回転と縦のしなり、体の横回転と横のしなりを瞬発的に行う。

慣性トルクの利用

慣性トルクの利用は、腕を加速、さらに回転運動に変換するにはどうすれば良いかという考えです。

慣性トルクには加速期と減速期と2度、腕の回転を加速できる

加速期の慣性トルクの利用

腕を最も加速させやすいのは、腕の重心と肩関節を結ぶ直線方向に腕を肩関節で引っ張る場合です。最大の運動量が得られますが、これでは腕は回転しません。
腕の重心と肩関節を結ぶ直線方向 と少しずれた方向に、肩関節が加速しながら腕を引っ張ると、腕は回転します。

しかし、実際は、上体の方が回転するので、意識としては肩関節の進む軌跡の後を投球側の腕の重心があるように腕をテイクバックするだけです。

この方法だと、肩関節の回りの回旋筋を使わないですむので、肩を怪我しにくくなります。連続的に腕を回転させるには、腕が肩関節の移動方向と揃い、一直線になろうとするので肩関節の動く軌道は弧を描く必要があります。腕が回転し、肩関節と腕の重心を結ぶ直線を追い越して、肩関節が減速する場合にも、腕には回転運動を起こそうとする慣性トルクが働きます。

したがって、いかに下半身をうまく使って、肩関節を加速、減速させ、投球側の腕の位置(コッキング)を正しい位置に確保すると、腕を振ることを意識しなくても腕が回転します。

減速期の慣性トルクの利用

例えば、肩関節の加速はいつまでも利用はできません。ボールのリリース直前では、肩関節を減速させた方が力を使わず腕が加速でき効率的です。肘関節も同様です。 肘関節も 加速した後は減速することによって前腕部分が加速します。 前腕部分 も加速した後は 減速することによって手関節が加速します。手関節も加速した後は減速することによって手先のスナップが加速します。

省エネピッチングを考えれば、加速期の慣性トルクだけでなく、減速期の慣性トルクも適切な両者の配分で利用したほうがよいでしょう。

下で述べるソフトボールのブラッシングは減速期の慣性トルクの良い見本です。

加速期の慣性トルクを利用する際、注意する点は、重力の影響です。

慣性トルクにより腕を振ろうと意識しなくても腕は回転するのですが、コッキングの際、腕の重心が重力に逆らうように腕を振り上げようとする腕の位置では腕の回転速度は上がりません。腕の重心が坂を下り降りるように腕が振り下ろされるようにしなければいけません。これはスリー・クウォーターまでの腕の角度については当てはまります。

したがって、コッキングの際、肘の位置を一度、両肩を結ぶ直線よりも高くし、肩、腕の力を抜いて、肘の位置を少し落下させながら、前腕を垂直近く立てると、腕の回転が速くなります。

オーバーハンドでは、体全体の重心を下げると腕の重心の軌跡は水平ぐらいになるので、重力に逆らわないので肩にストレスがかかりません。腕の回転もスムースになります。

楽に重心移動を行う基本的な方法

①上半身の姿勢は背筋を伸ばし直立を維持するが、その他の体の部分はリラックスさせ、体の重心を少しずつ下げるようにすると、重心移動は楽に行えることがわかりました。

私は、右利きですが、左手で投げる際、重心移動をうまく行えていませんでした。どうしても軸足を強く蹴ろうして、かえって重心移動のスピードが上がっていませんでした。前足を着地した時には、上体も回りすぎて(体が開く)いました。

セットポジションからのピッチングは手足の連動が反射的に行いにくいので難しいのだと思います。歩いたり、走ったりするときに手足の連動は考えなくても自然に行われます。それと同じように、ピッチングでも、セットポジションではなく、ワインドアップや、足のスタンスを前向き、斜め前向き、横向きといったいろいろな投げ方で練習すれば、セットポジションからのピッチングもスムースにできるようになります。

② 足のスタンスは斜め前向きが重心移動が楽に行えるので、初心者にはお勧めです。

理想的なピッチングフォームを身につけるための具体的な練習方法

①ソフトボールの投げ方で指先のスナップを速くする

球速アップには肘関節から先の部分をうまく使うことが不可欠です。ソフトボールの投げ方がとりわけ当てはまります。

ソフトボールでは、肘を軽く曲げ、肘関節の加速、前腕の回外、をした後、肘関節の減速、前腕の回内をおこない、指先のスナップを強くしています。

ソフトボールの上野投手のブラッシング

肘を体にこするようにして肘を減速させ(ブラッシング)、肘を支点に前腕の回転を加速させ、最後は指先のスナップを加速させています。スピードには加速だけではだめで、減速(ブレーキング)が大事なことがわかります。ブレーキングは前脚で体が前に行かないようにすることから始まります。

②ソフトボールの投げ方からアンダーハンドの投げ方に変える方法

ソフトボールでは上体が直立しているが、アンダーハンドでは少し上体を前傾させて重心移動させ、前足を着地してブレーキをかけながら、上体をホームプレート方向に向ける。この時、前足を着地する位置は、右投手であれば3塁側に少しインステップするとクレイグ・キンブレルのようになる。

ソフトボール、アンダーハンドの投げ方では、テイクバックで投球側の手が一番高くなった状態から肩の力を抜きます。その方が重力を利用して腕が加速させやすいからです。

③アンダーハンドからサイドハンドの投げ方に変える方法

サイドハンドでは、 テイクバックで投球側の手が一番高くなった状態から肩の力を ほんの少しだけ抜きます。

④サイドハンドからスリー・クウォーターの投げ方に変える方法

上体の軸を垂直から少し背中側に倒れる角度に変更する。

⑤ スリー・クウォーター の腕の角度を大きくする方法

上体の軸を少し2塁側に倒す。右投手では右肩が下がったようにするが、肩だけ下げるのではなく、上体の軸はまっすぐでなければいけません。

当スクール推奨の理想の投球フォーム①(V-pose)

ソフトボールの投げ方のように、減速ブレーキングに焦点を置いた投球フォームです。グラブ側の足の着地の際、脛の角度を後傾させ十分にブレーキングします。結果として、体全体が投球プレート側、あるいは一塁側に(上体の軸が直立あるいは1塁側にすこし傾いていて、かつ横回転の慣性を着地前に与えている場合)倒れるようになります。

グラブ側の足の着地後は、上体の前傾(縦回転)、上体の横回転にブレーキングをかけることを意識します。その結果、反動として、無意識に両手がバンザイをしてV字(V-pose)のようになります。

ボールの球速に必要な運動量は重心移動終了までに十分確保し、 グラブ側の足の着地 で地面からの抵抗を十分得て(体の重心の移動方向の延長線上に前足を着地する必要あり)、体の縦回転、横回転を引き出し、後は体の各部分(足側から投球側の指先にかけて)のブレーキング(減速)を意識して、省エネピッチング、肩、肘にストレスをかけず、コントロールも良くしようというのがV-poseピッチングのコンセプトです。

V-pose ピッチング

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