2013年度、大リーグで活躍が目覚しい若手投手

ピッチング

 今年の大リーグは若手投手の活躍が目立っています。成績表をみると、26歳以下の投手が成績上位を占めています。
 その中で将来性を含めて注目すべき投手を2人挙げてみましょう。
 昨年から注目されていた選手はニューヨーク・メッツのマット・ハービーMatt Harvey(24歳)です。今年のサイヤング賞候補の一人といっても言い過ぎではないと思います。今年はダルビッシュ投手と同じく1安打ピッチング(完全試合にあと少し)も記録しています。
 5月25日現在、5勝0敗、防御率1.93、被打率.169、WHIP 0.83
 ニューヨーク・メッツは打線が弱く(大リーグ30球団中下から2番目.227、最下位はマイアミ・マーリンズ.221)勝ち星が伸びませんが、被打率、WHIP(1イニングで平均、何人、安打、または四球で塁に走者を出したか)はクレイトン・カーショーについで2位です。
 クレイトン・カーショーは防御率もトップの1.35で、大リーグ通算防御率も2.69と先発投手としては大リーグ史上に名が残る選手です。同じドジャースで活躍した伝説の左腕投手サンディー・コーファックスの2.761を上回っています。
 マット・ハービーの将来性を感じさせるのがまず球速です。
 マット・ハービーの平均球速は94.8マイルで先発投手としては3位タイです。
 1位はワシントン・ナショナルズのステファン・ストラスバーグStephen Strasburgの95.4マイルです。
 2位はシカゴ・カブスのジェフ・ザマージャJeff Samardzijaの95.0マイルです。
 
 マット・ハービーがすごいのは速球だけではありません。スライダー、カーブ、チェンジアップといった変化球も平均以上のできです。
 マット・ハービーは投球フォームも優れています。緩やかなフォームからボールを投げていて、フォームからは球速は感じさせませんが、上記のように球速があります。肘、肩に負担がかからない投球フォームだと言えます。腕を背中側に大きく引かないで、肘もあまり曲げない投げ方をしています。
 腕の振りが非常に速く見える投手は怪我をしやすい投げ方をしていると言えます。下半身をうまく使っておらず、肩、肘の動きだけが目立つので、腕の振りが体に比べて相対的に速く見えるからです。
 マット・ハービーの1安打ピッチング(動画)

Must C: Classic05/07/1302:08
5/7/13: Matt Harvey overcame a bloody nose to throw 6 2/3 perfect frames and finish the game with a career-high 12 strikeouts
マット・ハービーは鼻血にもめげずに6回2/3イニングをパーフェクトに抑え、自己最多の12三振で完封しました
matt harvey one hitter 2013.gif
Updating the Top 100 Pitchers in Baseball in 2013
2013年度、大リーグトップ100投手(更新)
BY JOEL REUTER (FEATURED COLUMNIST) ON MAY 22, 2013
 
6. SP Matt Harvey, New York Mets
6位 マット・ハービー、ニューヨーク・メッツ
I may be jumping the gun a bit here by putting Matt Harvey at No. 6, but I see no reason to believe he’s not the real deal and every bit as good as his numbers indicate, even at 24 years old.
マット・ハービーを6位にランクしたことは少し早まった行為(フライング)かもしれません。しかし、まだ24歳ではあるけれど、彼の成績が示す通りどこからみてもすばらしく、本物でないと信じる理由はどこにもみあたりません。
The right-hander made 10 starts for the Mets down the stretch last season, going 3-5 with a 2.73 ERA and 10.6 K/9. Jon Niese got the Opening Day nod, but it was clear that Harvey had the talent to be the ace of the staff.
この右腕は昨シーズン終盤にメッツで10試合に登板し、3勝5敗、防御率2.73、奪三振率10.6/9回という成績を残しました。ジョン・ニースが開幕日に登板しましたが、ハービーがチームのエースとなる才能を持っていることは明らかでした。
With a fastball that consistently sits in the high 90s and a filthy slider, he has overpowering stuff, and he’s used it to go 5-0 with a 1.93 ERA and 9.5 K/9 through his first nine starts this season. There will no doubt be some drop in those numbers as the season progresses, but there’s no reason to think that he’s not a legitimate Cy Young candidate in 2013.
彼にはコンスタントに90マイル後半を出す速球と厄介なスライダーがあり、打者を圧倒する力があります。このおかげで、彼は今シーズン最初の9度の先発で5勝0敗、防御率1.93、奪三振率9.5/9回という成績を残しています。シーズンが進めば、この数字がある程度落ちるのは間違いありませんが、彼が2013年度のサイヤング賞候補にふさわしくないと考える理由はどこにも見当たりません。
もう一人の注目の若手投手パトリック・コルビンPatrick Corbin
アリゾナ・ダイアモンドバックスの若手左腕投手(23歳)で5月30日現在の成績は、
8勝0敗、防御率1.71、奪三振率7.4、四球率2.6とナショナルリーグのサイヤング賞を取りそうな勢いがあります。
 コルビンの球種は4つで、投球比率は速球がツーシーム50.2%、フォーシーム19.2%、変化球がスライダー19.2%、チェンジアップ9.4%です。
 コルビンの投球パターンはツーシームでゴロを打たすか、カウントを稼ぎ、2ストライクに追い込むとスライダーで三振を狙いにいくと言って良いでしょう。
 コルビンのスライダーの空振り奪取率は28.2%(100球投げたら28球で空振り)、スウィングした場合その53%で空振りを奪っています。初球ストライク率は70.2%と高くヤンキースのフィル・ヒューズPhil Hughesの70.8%についで第2位です。
 
 パトリック・コルビンは昨シーズンは6勝8敗、防御率4.54でした。今シーズンはローテーションの5番手として投げていて、それほどの期待はされていませんでしたが、今年、大ブレークの様相です。
 コルビンの大ブレークの要因
①速球の球速が91.3マイルと昨年よりも1マイルほど速くなった。
?初球ストライク率が58.6%から今年は70.2%と上昇している。
③速球の比率はほとんど変わっていないが、ツーシームの占める比率が38.9%から50.2%と上昇した。
 その結果、ストライクゾーンに投げてゴロを打たすか、ファウルでカウントを稼ぐことが出来るようになっ た。 
④スライダーの比率が16.4%から21.9%と上昇した。その分チェンジアップの比率が下がった。
⑤ホームランを打たれる比率が1.18から0.40と大幅に減少して防御率が大幅に改善した。
コルビンの初完投勝利(動画)
Corbin’s first complete game 05/21/13 | 00:01:56
5/20/13: Patrick Corbin strikes out 10 vs. the Rockies in the first double-digit strikeout and complete game of his career
パトリック・コルビンはロッキーズ戦で10三振を奪い、初完投勝利を挙げる。2桁三振は初めてです。
コルビンのスライダー
patrick corbin 2013 cl game.gif
Updating the Top 100 Pitchers in Baseball in 2013
2013年度、大リーグトップ100投手(更新)
21. SP Patrick Corbin, Arizona Diamondbacks
21位 パトリック・コルビン、アリゾナ・ダイアモンドバックス
By far the biggest surprise of any of the 2013 breakout stars, Patrick Corbin gave no indication prior to the season that he was in line for a monster year and was not even expected to break camp in the Diamondbacks rotation.
2013年にブレイクした選手の中では断然パトリック・コルビンが最大の驚きです。彼はシーズン前は、今年が大飛躍の年になるという兆候は見せていませんでした。そしてダイアモンドバックスの(春季)キャンプを離れダイアモンドバックスのローテンションに入ることさえ期待されていませんでした。
In 2011, Corbin went 9-8 with a 4.21 ERA in a full season at Double-A, and while he was one of the Diamondbacks’ better pitching prospects, he was never anywhere near any Top 100 lists.
2011年にコルビンは2Aでフルシーズン投げ、9勝8敗、防御率4.21でした。そして、ダイヤモンドバックスでは将来有望な投手の一人ではありましたが、トップ100のリストに載るような位置にいることは決してなかったのです。
He split last season between the minors and Arizona, going 6-8 with a 4.54 ERA in 22 games (17 starts) for the Diamondbacks and entered camp competing with top pitching prospect Tyler Skaggs for the No. 5 starter spot.
彼は昨シーズンはマイナーとアリゾナを行ったり来たりでした。ダイアモンドバックスでは22試合(先発が17回)投げて6勝8敗、防御率4.54でした。そしてローテーションの5番目の座を最も有望な投手の1人であるタイラー・スカッグスと春季キャンプで競いました。
He came away with the job, and in nine starts so far this season, the left-hander is 7-0 with a 1.44 ERA and 51 strikeouts in 62.1 innings. His 273 ERA+ is the best mark in the NL, and he has gone at least six innings and allowed no more than two runs in each of his starts.
彼は(先発の)仕事を得てキャンプを離れました。今シーズンこれまで9度先発して、7勝0敗、防御率1.44、62.1イニングで51三振を奪いました。彼の修正防御率(球場の広さで補正した防御率で100が平均値)273はナショナルリーグで最高です。そして彼は少なくとも6イニングを投げ、いずれの先発でも2点以上を許しませんでした。
He seems like the most likely to regress of any of the fast-climbers on this list, so I’m not willing to rank him any higher just yet, but he has earned his place in the Top 25 so far this season.
彼はこのリストに急遽載った選手の内では最も成績が後退しそうに思えます。だから、私はまだ彼をもっとランクの上位に乗せる気にはなっていません。しかし、今シーズン彼はこれ迄のところトップ25位に着けています。

コメント

  1. J より:

    いつも参考になります。
    ネットで調べると投手のトレーニング方法がたくさんありますが、どれが効果的でオススメなのか知りたいです
    私は上半身は指を広げた腕立てくらいです(これは、能力の向上というより怪我防止のための筋肉)
    そういったことを取り上げる予定はありませんか?

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